dfplus.io では月に 1 回程度、媒体について実践的なセミナーを行っており、無料でご参加いただけます。
2023 年 5 月 25 日に開催した「機械学習を味方につける!初心者のための Criteo 講座セミナー」では、Criteo の基本情報や、特長である機械学習を活かして広告成果を上げるためのフィード運用テクニックについて解説しました。その内容をご紹介します。
Criteo の基本
Criteo とは
Criteo は、ユーザーごとにぴったりの広告を自動で生成・配信できるディスプレイ型のダイナミック広告です。
「さっきサイトで見た商品や、ちょうど気になっていた商品の広告が出てきた」という経験がある方は多いと思いますが、Criteo はそういった経験を提供する広告のひとつです。
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリケーションの画面内に設置された広告枠に表示される画像や動画、テキストで構成される広告のこと。
ダイナミック広告とは、閲覧履歴をもとに、商品やサービスに関する広告をユーザーごとに自動生成して表示する広告を指します。
Criteo 広告の仕組み
なぜ Criteo は、ユーザーが気になっている商品や欲しい商品を知っているのでしょうか?
それは、ユーザーの行動履歴や興味・関心を機械学習することで、CV に繋がるタイミングや最適な配信面を選んでいるからです。
それを可能にしているのは、Criteo が保有する膨大なユーザーデータ。
配信結果も蓄積されており、「ユーザーがどのタイミングで CV に至るか」に関するあらゆる知見があるため、最適なタイミングで配信を行うことができます。
また、興味・関心のデータに基づいて、閲覧した商品だけでなく、似た傾向をもつユーザーがよく購入する別の商品もレコメンドされます。
未訪問ユーザーにも有効
Criteo は、サイトに一度も訪問していない新規のユーザーにも有効な媒体です。
カスタマーアクイジションというメニューは、サイトを訪れたユーザーではなく、商品を購入しそうな、サイト未訪問のユーザーへ配信を行います。
新規顧客の獲得に効果的で、新規ウェブサイト訪問者の 82% が購入に至った事例(※)もあります。
※詳しくはMr. Blue | JP – Criteo.comをご覧ください。
また、行動が類似するユーザーに配信するターゲティングの設定も可能です。
他にも、2022 年に提供が開始された Criteo 動画広告(※)では、フルファネルに活用できることがアピールされています。
※詳しくはフルファネルマーケティングを強化する 「Criteo 動画広告」を提供開始をご覧ください。
Criteo は既存顧客へのアピールに強いイメージでしたが、認知獲得から購入まで、幅広く活用できる媒体へと進化を遂げているようです。
ポストCookie における Criteo
3rd Party Cookie が規制され、Cookie に依存しないソリューションが求められる「ポストCookie 時代」。ダイナミック広告ときくと、ポストCookie への対応が気になる方も多いのではないでしょうか。
Criteo をはじめとする、行動データをもとにレコメンドを行う広告は、Cookie 規制の影響を少なからず受けます。
そこで、Criteo が提供する、ポストCookie でも成果が期待できる 2 つの施策をご紹介します。
- ターゲティング(「ファーストパーティー・メディアネットワーク」)
- 新たな広告メニュー(コンテクスチュアル広告、リテールメディア)
・ファーストパーティー・メディアネットワーク
1 つ目は、1st party data に基づく計測を可能にする「ファーストパーティー・メディアネットワーク」。
3rd party cookie の規制により情報量が減っても、ターゲティング精度を維持するための施策のひとつで、広告主側のデータ(※1)と広告掲載面側(パブリッシャー)のデータ(※2)を AI で解析し、その商品の購入可能性が高いユーザーに広告を表示することができます。
※1:EC や求人サイトでの閲覧履歴や購入履歴など
※2:掲載するサイトでのユーザーの行動履歴など
・広告メニューの拡大
2 つ目の対策は、広告メニューの拡大です。
Criteo はここ数年の間に、コンテクスチュアル広告やリテールメディアといった配信メニューをローンチしました。
コンテクスチュアル広告とは、掲載サイトのコンテンツと商品の相性を分析して広告を表示するメニューのこと。
リテールメディアは、モールのようなメディアに広告を表示することを指します。
これらの広告は、広告主のデータ、掲載先のデータ、そして Criteo のデータを使うので、透明性が高く、かつターゲティング精度が高いのが特長です。
コンテクスチュアル広告で、同目的の他社施策比で、CTR が約 800%、CVR は約 300% を実現した事例もあるようです。
詳しくはUnited Arrows | JP – Criteo.comをご覧ください。
ポストCookie 時代の対応について、Criteo 社の方に伺った内容をこちらのブログで紹介しております。
「AI×コマースデータ」という Criteo の強みを活かした新しいソリューションを次々とローンチし、リターゲティング以外の配信が全世界で売上の 40% 以上を占めるほど伸びているなど、Criteo の最新情報は必見です。
Criteo に向いている商材
Criteo は、ユーザーの行動履歴や興味関心を機械学習し、CV に繋がるタイミングと配信面を選べることが強みであるため、その機械学習のもととなる情報が多い業界に向いています。EC、人材、不動産、旅行などが該当します。
Criteo の強み
Criteo 独自の強みとして、以下の 3 つがあります。
- 豊富なクリエイティブ
- 圧倒的な配信量
- AI・機械学習による最適化
1. 豊富なクリエイティブ
数多くのレイアウト・カラー・ボタン文言が用意されており、様々なクリエイティブで配信を行うことができます。
また、クリエイティブは 1 回ごと・ユーザーごとに最適なものが配信されます。
2. 圧倒的な配信量
Criteo は世界中の多数の広告ネットワークと提携しており、優良な配信面を多く保有しています。
日本のインターネットユーザーへのリーチ率は 92.6 %(※)と非常に高くなっています。
※2021 年 11 月時点
3. AI・機械学習による最適化
Criteo は、AI・機械学習による最適化に早い時期から注力しており、これは最大の強みであるといえます。
学習エンジンは、大きく分けて入札・レコメンド・クリエイティブの 3 つがあり、これによって、誰に(入札)・何を(レコメンド)・どのように(クリエイティブ)配信するかを判断しています。
- 入札学習エンジン
- レコメンド学習エンジン
- クリエイティブ学習エンジン
・入札学習エンジン
ユーザーの行動履歴から、配信を強化すべきユーザーを判断します。
例えば、カートに商品を入れた購入見込みの高いユーザーと、トップページで離脱した購入見込みの低いユーザーを識別し、どちらに高く入札するかを決めます。
・レコメンド学習エンジン
過去に閲覧した商品や同じカテゴリの商品、サイトでよく見られている商品や売れている商品の中から、バナーの枠数に応じて商品を選定します。
・クリエイティブ学習エンジン
ユーザーの行動履歴から、例えば商品点数が多いものをクリックする傾向や画像サイズの好みを判断します。
これにより、1 回ごと・ユーザーごとに最適なクリエイティブで広告を表示することができます。
Criteo は、早い時期からユーザー中心型の機械学習モデルの構築に取り組んでおり、2018年に設立した機械学習技術に特化した研究拠点「AI ラボ」には 3 年間で約 25 億円を投資する(※)など、この分野に非常に力を入れています。
※参照:次世代のデジタル広告テクノロジーを研究・構築する「AIラボ」をパリに設立|CRITEO株式会社のプレスリリース
なお、Criteo に限らず Google や Meta、Yahoo! 、LINE など運用が自動最適化される広告は、基本的に機械学習で最適化を行っています。
このことから、いまや AI による広告配信は定石であり、人力での運用では太刀打ちできなくなっています。
高い広告成果を出すには AI や機械学習が必要不可欠であるということは、広告運用者がいかに「機械学習が進みやすい運用」ができるかが重要です。
そのためには、以下の 2 点を意識した配信設定やデータフィードの設計が有効です。
- 学習のもととなる情報を、媒体にできるだけ多く与えること
- 最大限学習エンジンを活かせる環境を作ること
しかし、「AI や機械学習って難しそう」「そう言われても何をすればいいかわからない…」という方もいらっしゃるかと思います。
そこで、知見や運用経験がなくても、ツールで簡単にポイントを押さえたことで、高い広告成果を実現した事例をご紹介します。
株式会社スタージョイナスでは、非エンジニアの担当者ひとりで、Criteo を含む複数媒体のデータフィード管理と広告運用(代理店管理を含む)を行っていました。
商品ごとのエラー対応に悩まされていましたが、ツールの導入により、改善・管理コストを大幅に削減できました。Criteo のフィードをほぼ 1 日で完成させただけでなく、細かな改善が可能になったことで、開始 3 ヶ月で ROAS 1,200%を実現しました。
配信までのステップ
Criteo の配信を始めるには、以下の 4 つが必要です。
- Criteo の管理アカウント
- Webサイト閲覧状況を把握するための動的タグ
- 広告に使用する商品データ
- Criteo 用のデータフィードと送信の仕組み
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
Criteo の管理アカウント
広告を配信・管理するための Criteo アカウントを開設します。
Google ショッピング広告での Google 広告のアカウント、Meta 広告のビジネスマネージャーに相当するものです。
管理画面でキャンペーンや予算の設定を行います。
動的タグ
動的タグとは、ユーザーの Webサイト閲覧状況を把握することができる HTML コードのこと。ページが表示されたときに発火し、媒体のサーバにデータが送信される仕組みです。動的タグを設定しておくと、例えば、入札学習エンジンに購入履歴や閲覧履歴の正しい情報が送られるので、最適化の精度を高めていくことができます。
Criteo の動的タグは 5 種類です。
- 商品詳細タグ ※必須
- CV タグ ※必須
- TOP タグ
- 一覧タグ
- カートタグ
「TOP タグ」「一覧タグ」「カートタグ」の実装は任意ですが、これらも設定することをオススメします。
なぜなら、5 つのタグを全て実装することで、ユーザーの興味・関心の度合いを判断し、最適な配信が可能になるからです。
ユーザーの興味・関心の度合いは、トップページは低く、CV に近づくほど高くなっています。そのため、必須である「商品詳細タグ」より深い「カートタグ」を設定しておくことで、より CV に至りやすいユーザーに配信することができます。
一方、ユーザー数は TOP ページの方が多いので、TOP タグや一覧タグを設定しておくことで配信量(=機械学習のもととなる情報の母数)が増えて、学習エンジンの精度向上が期待できます。
これらの理由から、5 つ全てのタグを実装するようにしましょう。
商品データ
Criteo を開始するには、商品詳細ページに表示している、商品名や価格、画像、カテゴリーなどの情報が一覧になっている商品データが必要です。人材なら求人票、不動産なら物件、旅行ならプランなどが該当します。
商品データを広告に使用する際は、CSV で抽出するケースがほとんどですが、抽出したデータをそのまま Criteo に渡せるわけではありません。
Criteo が指定するフォーマットに変換する必要があります。
データフィード
変換した商品データ(や変換する仕組み)を、データフィードといいます。
用意したデータフィードを Criteo に送信することで、配信が可能になります。
データフィードは、広告成果を出すうえで非常に重要です。
なぜなら、データフィードは、広告クリエイティブのほぼ全部の構成要素だからです。
画像左がデータフィードの項目(一部)、右がクリエイティブの一例です。
見比べてみると、タイトル(商品名)、ディスクリプション(商品説明)だけでなく、価格やセール価格、画像 URL、バッジなど、クリエイティブにある全ての情報がデータフィードから抽出されていることがわかります。
また、クリエイティブで使われていないカテゴリなどの項目も、機械学習のもととなる情報として活用されます。
したがって、データフィードにどのような情報を入れるかは、クリエイティブや機械学習の精度を左右する非常に重要なポイントであるといえます。
Criteo 運用テクニック
Criteo で成果を出すには
Criteo で成果を出すには、「機械学習が進みやすい運用」を実現できるかがカギになります。そのために以下の 2 つを意識して運用を行う必要があります。
- 学習のもととなる情報を、媒体にできるだけ多く与えること
- 最大限学習エンジンを活かせる環境を作ること
Criteo で成果を出すための運用テクニックをご紹介します。
キャンペーンの統合
Criteo は、広告キャンペーンを 1 つに統合することを推奨しています。
dfplus.io ユーザーでも、デバイス別で設定していたキャンペーンを 1 つに統合したことで、CPA が 75% に、CV 数が 172% に改善した事例があります。
キャンペーンを統合すると、1 キャンペーンあたりの配信量や CV 数が増える(※)ので、学習エンジンに渡される情報の母数が増えて、改善が進みやすくなるのが理由です。
※エンジンは、キャンペーンごとに機械学習を行う
逆に、細かく分けてしまうと 1 キャンペーンあたりのデータが少なくなり、機械学習が進みにくくなります。
カテゴリの活用
キャンペーンの統合と同じく、より多くの情報を学習エンジンに渡すテクニックとして、カテゴリの活用もオススメです。
Criteo のデータフィードには、カテゴリに該当する項目が 3 つ(categoryid1~3)あります。必須なのは「categoryid1」だけですが、すべてを埋めることで、より機械学習の精度を上げることができます。
人材を例に見てみましょう。
「categoryid1」に業種を入れて、「categoryid2」「categoryid3」が空値の場合、ユーザーは業種でしかその求人を把握することができません。
これに対し、「categoryid2」「categoryid3」で、例えば年収や勤務地を設定すると、ユーザーは 3 つの軸から求人情報を判断することができるようになるため、エンジンの機械学習が進み、より確度の高いユーザーにアプローチできるようになります。
Criteo の EC 向けデータフィードは、Google ショッピング広告のデータフィードに類似しているため、ショッピング広告を実施中の方は、挑戦しやすいかもしれません。
詳しくは商品カタログの仕様について | Criteo ヘルプをご覧ください。
データフィードの項目をできるだけ全てを活用することで、詳細な情報を入れるテクニックは、他の媒体でも有効ですので、ぜひ見直してみてください。
不一致率の改善
ここでいう不一致とはWeb サイトとデータフィードの情報が一致していないことを指しています。サイトにはあるのに、フィードに反映していない商品があるなどのケースが、これに該当します。
例えば、あるユーザーがサイトで新商品を閲覧すると、その履歴が学習エンジンに送られます。しかし、フィードにその新商品が反映されていないと、学習エンジンはどの商品を閲覧したのかわからず、そのユーザーが気になっている商品を把握することができません。この場合、閲覧履歴を広告に反映させることができないため、広告成果が落ちる可能性があります。
また、データフィードが最新の状態に保たれていないと、在庫切れ商品が掲載されてしまい、CV に繋がらない無駄クリックが発生してしまうリスクもあります。
このような事態を避けるには、データフィードを常に最新の状態に保つことが重要です。
しかし、1 日 1 回、手動でデータフィードを更新するのはとても大変です。(在庫などの情報の変動が大きいサイトの場合は 1 日複数回が望ましい)
そこでオススメなのが自動更新。自動更新の仕組みをつくれば、データフィードを常に最新の状態に保つことができ、サイトとフィードの不一致率を改善することができます。
クリエイティブ数最大化
Criteo は、豊富なクリエイティブのパターンを有し、かつ DCO+ という独自のクリエイティブ学習エンジンを使用することで、ユーザー単位で最適化された(ユーザーが好む)クリエイティブを表示することができます。
クリエイティブ学習エンジンを最大限活用するには、「制限を外す」という考え方が大切です。具体的には、レイアウト、ナビゲーション、カラーセットなどを管理画面で設定する際、少数に絞らず、最大のパターン数を用意しておくということです。
これにより、大きい画像を好むユーザーには大きい画像のクリエイティブを、多くの商品を含んだクリエイティブを好むユーザーにはそのようなクリエイティブを表示する、というようにより最適化されたクリエイティブの配信が可能になります。
エクストラバッジの活用
バッジの活用もぜひやっていただきたいテクニックのひとつ。
Criteo 以外にもよく見られる機能なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
広告成果の向上に効果的であるとされており、特に CTR の改善に有効です。
広告全般に言えることですが、特に Criteo は 1 つの枠内に表示できるテキスト情報が多くありません。クリエイティブによってはタイトルが最初の数文字しか表示できない場合があり、かといって情報を詰め込んでしまうと視認性が悪くなります。
そこで、タイトルはできるだけシンプルにして、ユーザーの気を惹く情報(〇〇% オフや スターレイティングなど)をバッジで設置するのがオススメです。
※詳しくはCriteoに関するTIPS:「NEW」「送料無料」などを広告に表示する「バッジ機能」を活用しましょう! | dfplus.io Blog をご覧ください。
まとめ
まずは、
- ユーザーをより細かく識別する情報や、ユーザーの気を惹く情報を学習エンジンにたくさん与える
- 媒体のポテンシャルを活かす環境をつくる
この 2 つを心掛けることで、機械学習が進み、精度が上がるというイメージをつかむことが大切です!
ご紹介した 5 つのテクニックのうち、「キャンペーンの統合」と「クリエイティブ数最大化」は管理画面で設定可能です。
「カテゴリの活用」「不一致率の改善」「エクストラバッジの活用」は、データフィードで設定する必要があります。
データフィード改善に取り組む際は、以下の 5 つを満たす管理環境を構築していただくことをオススメしています。なぜなら、改善の成果や大変さは、管理環境によって大きく差がでるためです。
- 自動更新
不一致率の改善や在庫切れ商品の非表示を実現するために重要です。
- 設定や変更が簡単
やりたい改善を思いついてもすぐに反映できない環境は、機会損失に繋がってしまいます。
- 誰でも状況を確認できる
前任者が辞めたタイミングや、代理店からインハウスへ移行する際に、「設定がブラックボックス化していて、エラーが出るのが怖くて変えられない」という相談をよくいただきます。
設定した時の状況や意図を誰もが確認できるようにし、属人性をなくすことが大切です。
- システムリソースを圧迫しない
- 媒体のことをよく知っており、相談できるパートナー
この 5 つを叶える管理環境として、データフィード管理ツールの使用をオススメしています。
まとめ
Criteo の強みや、機械学習を最大限活用するテクニックなどを解説しました。リターゲティング広告のイメージが強い Criteo ですが、3rd Party Cookie を使わない新たな広告メニューをリリースするなど、進化を続けています。配信を検討してみてはいかがでしょうか?
また、こちらの記事では、特に改善インパクトが大きい「クリエイティブ」と「カテゴリ」について、よくある設定や業種別の改善例をご紹介していますので、あわせてご覧ください。
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