2023 年 11 月 9 日に開催した「EC サイトの成功事例で学ぶ活用法 Pinterest マーケティング入門セミナー」では、ピンタレスト・ジャパンにご登壇いただき、Pinterest の基本から、まず活用したい「プロダクトピン」やショッピングアドまで詳しく解説しました。その内容をご紹介します。
第 1 部 ピンタレスト・ジャパン~Pinterest を EC マーケティングに活用しよう
ピンタレスト・ジャパンのパートでは、SMB 事業本部 営業部長を担当されているダン氏から、Pinterest の基本やショッピングソリューションのステップなど、活用するために押さえておきたいポイントをたっぷりお話ししていただきました。
ダン カステラーノ 氏 ピンタレスト・ジャパン合同会社 SMB 事業本部 営業部長。日本のエンターティンメントとゲーム業界にて要職を歴任したのち、ソーシャルメディア広告業界に 10 年間以上の経歴を持つ。今年から、Pinterest Japan の SMB 事業 営業部長として Pinterest の活用で日本の中小企業のビジネス拡大を支援することに従事。
Pinterest とは
「ビジュアル探索プラットフォーム」と表現されることが多い Pinterest。ユーザーは、アイデアを探し、インスピレーションを得るために Pinterest を利用しています。
模様替えがしたくなったら「インテリア おしゃれ」と、晩ご飯に迷ったら「簡単 レシピ」と検索したりと、毎日を豊かにするヒントや行動のきっかけをくれるのが Pinterest。保存したピンはボードでまとめてみることもでき、自分の「好き」を集める場所としても魅力的なプラットフォームです。
未来に向けて活用する Pinterest
Pinterest の特徴の 1 つが、その活用されるタイミング。友人やインフルエンサーの近況をチェックしたり、自分の近況をシェアする場所として使われる他のプラットフォームと異なり、未来に向けて役立つ情報が欲しいというモチベーションで利用されるのが Pinterest です。
ホームパーティーを例にとると、パーティーの最中や終わった後に書き込むのが一般的なソーシャルプラットフォームの使われ方ですが、Pinterest には計画中のパーティーに向けて、料理やデコレーションのアイデアを探すユーザーが集まっています。
ユーザーは世界で約 4.6 億人!
Pinterest による 2023 年の調査では、そのユーザーは世界で 4 億 6,500 万人を超えることがわかりました。
非指名検索が 97% の キーワードも
Pinterest が米国で行った調査では、ギフトに関する検索キーワードの上位 1,000 件のうち 97% が、特定の商品やブランドを含まない非指名検索だったそうです。
このことから、
- ユーザーはファネルの最初期の段階から Pinterest にアクセスしている
- そのため、あらゆる商品やブランドに対してオープンな姿勢のユーザーが多い
ということがわかります。
また、国内のユーザーの約 3 人に 1 人が Pinterest で新しい商品を見つけた経験があると回答しており、Pinterest は発見から購入に至るまで、ユーザージャーニーにおいて重要な役割を担っていることがわかります。
おさらい
Pinterest ユーザーには次のような特徴があります。
- 行動を起こすためのヒントやアイデアを求めており、情報収集に対してとても意欲的
- 見つけたアイデアを実現することを望んでいるため、ブランドや商品に対してオープン
これは、ブランドや企業にとって、Pinterest がより効果的な出会いが期待できる場所であることを意味しています。
また、Pinterest はこのような意欲的なユーザーに出会うためにユーザーファーストを掲げ、ポジティブな環境づくりに尽力しています。
詳しくはこちら:ユーザーファーストの約束 | Pinterest help
Pinterest アド
Pinterest の広告は、発見~意思決定~行動(購入)に至るまで、ユーザージャーニーの様々な段階でインスピレーションを与えることができるよう設計されています。
フォーマットの豊富さも魅力のひとつ。各ファネルでオススメのフォーマットをご紹介します。
認知
- スタンダード動画
- ワイド動画
- アイデアアド
Pinterest は静止画のイメージが強いですが、ここ数年、急速に動画コンテンツが増えています。ミレニアム世代、Z 世代と呼ばれる層には動画素材による訴求が特に有効と言われており、Pinterest を利用する若年層は増加しているためです。
このことから、「スタンダード動画」や、より占有率の高い「ワイド動画」は効果が期待できます。
今後も新たな動画フォーマットをリリース予定です。
また、音楽やテキスト、ステッカーを自由に追加できる「アイデアアド」も認知獲得に適したフォーマットです。
比較検討
- スタンダードピン
- カルーセル
- コレクション
Pinterest でよく活用されているのが「スタンダードピン」。いくつかの画像を重ねて、ストーリーを作ることができる「カルーセル」や画像にタグ付けすることで関連商品を展開できる「コレクション」も比較・検討の段階で有効なフォーマットです。
CV
- ショッピングアド
- コレクションアド
- ダイナミックリターゲティング
お持ちのカタログを Pinterest に連携するだけで作成できるプロダクトピンのリーチを広げる「ショッピングアド」(※詳しくは後述)のほか、「コレクションアド」や Pinterest タグを活用する「ダイナミックリターゲティング」も CV 獲得にオススメです。
ターゲティング
Pinterest では、年齢・性別・エリアのほか、興味・関心やオーディエンス(既存顧客に近いユーザーにリーチできる「Actalike」など)によるターゲティングが可能です。
特に興味・関心によるターゲティングを強みとしており、例えばブーツの場合、「レディースファッション>レディースシューズ>ブーツ」という粒度で設定することができます。
しかし、最初はターゲットを絞りすぎず、広く配信することを推奨しています。広く配信することで情報量の増加によって機械学習が進み、最適化されやすくなります。
また、Pinterest の調査によると、国内ユーザーは年間 1 人あたり平均 12 種類のインタレストカテゴリを利用しており、興味・関心の幅が広いことが伺えます。ぜひカテゴリも活用しましょう。
Pinterest のショッピングソリューション
Pinterest では、インスピレーションにあふれたオンラインショッピング環境を手軽に構築することができます。
そのソリューションを 2 ステップで紹介します。
- プロダクトピンを作成する
・カタログを連携する
・(Pinterest タグの設定) - 広告で売上を拡大する
1. プロダクトピンを作成する
Pinterest で EC マーケティングを始めるうえで、まず行いたいのがプロダクトピンの作成です。
EC サイトにお持ちの商品データを Pinterest に連携すると、データフィードに入っている情報をもとに、自動でプロダクトピンを作ることができます。これで初めて、Pinterest 上でユーザーと出会えるようになります。
Pinterest のカタログは、マルチフィードにも対応しているため、複数の言語・通貨の商品データがある企業も利用できます。
また、dfplus.io と連携しているため、カタログ連携やフィード管理を簡単に行うことができます。
Pinterest タグも設定しましょう
プロダクトピンの準備ができたら、Pinterest タグの埋め込みを行いましょう。
Criteo などと同様、タグを埋め込むと Pinterest 上でのユーザー行動(カートに入れた、購入したなど)を Pinterest 上に蓄積できるようになります。これにより、より CV が見込めるユーザーに表示したり、「リターゲティングアド」をスムーズに始めたりすることができます。
これで Pinterest 活用のステップ 1 は完了です!
広告費がかからないオーガニックの流入だけで、 Pinterest ユーザーと出会うことができます。
2. 広告で売上を拡大する
Pinterest 経由の売上を拡大するには「ショッピングアド」を始めましょう。
ステップ 1 で作成したプロダクトピンをより訴求することができます。
ショッピングアドのソリューション
一般的な 3 つのフォーマットをご紹介します。
- ショッピングアド
1 枚の画像からなるフォーマット
- コレクションアド
1 枚の画像にタグ付けして、関連商品を展開するフォーマット。Pinterest 用にデータフィードを調整して、特定の商品グループを強調させることもできます。
- ダイナミックリターゲティングアド
Pinterest タグを埋め込むと活用できるフォーマットです。ユーザーのアクションによって機械学習を行い、最適な商品を表示します。
Pinterest ダイレクトリンク
2023 年 9 月にリリースされた新しい広告ソリューションです。
以前は、広告表示からサイトの遷移までが
- ユーザーが広告をタップ→広告が拡大表示される
- もう1 度タップで EC サイトに遷移する
の 2 ステップでしたが、ダイレクトリンクを活用すると、1 クリックでサイトに遷移できます。
リリース後日が浅い機能ですが、クリック数の増加や CPC の低下が確認されており、購入プロセスの簡素化とそれに伴うパフォーマンス向上が好評を得ています。
ダイレクトリンク未対応のアドフォーマットもあるため、詳しくは Pinterest の担当者にご確認ください。担当がついていない場合は、下記フォームからご相談ください。
https://business.pinterest.com/ja/ads-consultation/
商品グループ管理
価格や性別などを軸に商品を分類する「商品グループ」。
ショッピングアドでの訴求をより効果的にする機能ですが、新たなフィルターが追加され、グループの作成がより簡単になりました。お持ちの商品データから Pinterest 用のキャンペーンを簡単に作成できます。
機能やフォーマットが充実しているショッピングアド。
プロダクトピンでオーガニック流入を増やすことができたら、ネクストステップとしてショッピングアドもぜひご検討ください。
EC 広告主の成功事例
Pinterest 広告の国内の成功事例をご紹介します。
宇治茶を使用したスイーツなどを扱う伊藤九右衛門では、新規ユーザー獲得を目的としてクリエイティブを重視したキャンペーンを展開。その結果、ROAS 10 倍、クリック率最大 4% を実現しました。
・商材:食品
・アドフォーマット:スタンダード
・活用した機能:ターゲティング
・効果:ROAS 10 倍、クリック率 4%
Pinterest のモーメントカレンダー
クリスマスや GW など、日本には商戦で外せないモーメントが 1 年を通して数多くあります。Pinterest では他のプラットフォームに比べて早い段階から検討されているという特徴があるため、キャンペーンを組む際は早めの検討がオススメです。
例えば GW の一般的な検討(検索)のピークは 3 月~5 月ですが、Pinterest では多くの企業が 1 月末からキャンペーンを開始しています。1 年で最も盛り上がるホリデー商戦も、早いところは 9 月から実施しているようです。
ですが、今からでも今年のホリデー商戦に間に合わせることは可能です!「Pinterest 初挑戦でわからないことだらけ…」という方も、まずは下記フォームからお問い合わせください。
https://business.pinterest.com/ja/ads-consultation/
また、Pinterest が提供する e ラーニング「Pinterest Academy」では、全 10 ステップ、3 時間程度で効果的なキャンペーンの実行に必要な知識とスキルを習得できます。
まずはしっかり学びたいという方も、成果を改善するために情報が欲しいという方にもオススメです。
第 2 部 フィードフォース~プロダクトピンを活用しよう
第 2 部では、フィードフォースの横関から、Pinterest マーケティングの第一歩、プロダクトピンについて詳しくお話ししました。
横関 哲 株式会社フィードフォース データフィードエヴァンジェリスト。データフィード管理ツール「dfplus.io」のセールス・カスタマーサクセスを担当。お客様それぞれに最適なデータフィード施策や、中長期を見据えたデータフィード管理環境の導入を提案している。
プロダクトピンについておさらい
まずは、第 1 部でお話があったプロダクトピンについて、おさらいしましょう。
プロダクトピンとは、Pinterest のフィードで商品の情報(商品名、価格、商品詳細、在庫状況など)を表示するピンのこと。
画像やボタンをクリックすると EC サイトの商品詳細ページに遷移する仕組みなので、購入を促すために全商品についてピンを作成・配信することが Pinterest マーケティングでは欠かせません。
プロダクトピンは、データフィードの情報をもとに自動生成されます。
データフィードとは、各媒体が定めるフォーマットに合わせて変換・加工したデータファイルや、そのデータファイルに変換する仕組みのこと。データフィードの情報は、EC サイトと連動させて、更新を自動化することも可能です。
(データフィードは商品データ、商品フィード、商品カタログとも呼ばれますが、基本的には同じ意味です。)
プロダクトピンを活用すべき理由
以下の理由から、プロダクトピンの活用は「やらない手はない」非常に効率的な施策だといえます。
1.無料で実施できる
2.自動生成できるので必要な工数が少ない
Pinterest ではピンの量や質が重要です。自動生成の仕組みを使うことで、ピンの数を低コストで増やすことができます。
3.オーガニック流入が期待できる
プロダクトピンを作成すると、広告費なしで各商品をピンとして露出させることができます。dfplus.io のユーザー様でも、無料で月 10 万前後の売上を獲得している事例があります。
・大手アパレル
商品点数:約 6 万点
月間売上:約 8 万円
・アパレル
商品点数:約 7,500 点
月間売上:約 12 万円
4.Pinterest アドにすぐに展開できる
作成したプロダクトピンは「ショッピングアド」「コレクションアド」「ダイナミックリターゲティングアド」の 3 種類の広告メニューに展開可能です。
「まずはオーガニックだけで試したい」という方も、ピンを作成しておくと、広告を始めるハードルが下がったり、レバレッジが効くメニュー展開が可能になるため、オススメです。
dfplus.io ユーザーの間でも活用が進む
日本では 2022 年 6 月に開始した Pinterest 広告。フィードフォースのデータフィード管理ツール「dfplus.io」のユーザー様の間でも活用が進んでいます。
データフィード利用状況調査 2023年上期では、Google、Facebook など上位 5 媒体の利用率に大きな変化はなかったのに対し、Pinterest の利用率は前回調査(2022 年上期)の 2.7% から 8.4% にしていることがわかりました。ショッピングアドはもちろん、無料でオーガニックの流入が期待できるという強みから、徐々に活用する企業が増えているようです。
成果に繋げるプロダクトピン最適化テクニック
プロダクトピンの効果を高めるには、そのもととなるデータフィードの情報を最適化することでピンのクオリティを上げることが有効です。
Pinterest も成果改善のためにフィードを最適化することを推奨しています。
3 つの最適化テクニック
ピンのクオリティ向上に繋がる最適化テクニックを 3 つご紹介します。
- 商品タイトルの最適化
- 商品画像の追加
- 「送料無料」表示
ユーザーの目にふれる情報を充実させることが、ピンのクリック数やサイト遷移数の改善に繋がります。
実際に、海外インテリアを扱うセレクトショップ「N2 Interior」(Pinterest アカウント)でこれらの最適化を全て行った結果、実施前後の 2 週間で
- imp:1.3 倍
- クリック数:1.9 倍
- サイトへの遷移数:2.3 倍
という成果向上を実現しました。
各テクニックの改善例を見ていきましょう。
商品タイトルの最適化
・Before:LP の商品タイトルと同じシンプルなタイトル
・After:情報が充実し、目に留まりやすいタイトル
LP や商品データの商品タイトルをそのまま入れているケースが多く見受けられます。
しかし、Pinterest ではユーザーの検索語句に合わせてピンが表示され、その中からクリックされる仕組みなので、情報を充実させて、目に留まりやすいタイトルにすることで imp 向上が期待できます。サイズ、色、性別などの、ユーザーに検索されるキーワードを盛り込むようにしましょう。
また、Pinterest の調査では商品タイトルが 40 文字以上のアイテムは購入数が 1.7 倍に向上することがわかっており、多くの情報を入れるのが重要であることがわかります。
商品画像の追加
・Before:1 枚のみ
・After:複数の画像
1 つのピン内で複数の画像を設定すると、ユーザーに商品の情報が伝わりやすくなり、CTR や LP への遷移数に効果的です。
[additional_image_link]項目を活用して、別の角度から撮影した画像や異なる演出の画像を追加しましょう。
「送料無料」の表示
送料無料の商品は購入数が 2.4 倍と高くなるため、表示するようにしましょう。[free_shopping_label]に「True」と入力すると、価格・商品タイトルの下部に「送料無料」と表示されます。
また、[free_shipping_limit]に送料無料が適用される最低購入金額を入力すると「¥〇〇以上の購入で送料無料」と表示できます。
Pinterest に正式対応している dfplus.io では、データフィードの作成はもちろん、これらの最適化施策も簡単・迅速に行うことができます。
dfplus.io 操作デモ
- dfplus.io で Pinterest フィードを作成する
- 商品データのいくつかの情報を繋げて Pinterest の商品タイトルを作成する
1.dfplus.io で Pinterest フィードを作成する
dfplus.io で Pinterest のフォーマットが定義されているため、商品データを用意できれば数分で Pinterest のデータフィードを簡単に作成できます。
2.商品データのいくつかの情報を繋げて Pinterest の商品タイトルを作成する
商品データ内にある項目を連結させるだけで、クリックされやすい情報が充実した商品タイトルを作成できます。商品タイトルの最適化も簡単です。
フィードを活用したフルファネル戦略
Pinterest や Google ショッピング広告などの SNS・検索エンジン以外にも、認知拡大からサイト内検索、リターゲティング配信まで、EC は今日、データフィードを活用する様々な媒体で様々なファネルのユーザーに訴求できるようになっています。
EC マーケティングにおける商品データ活用はもはや必須といえるでしょう。
そこでカギになるのが、複数のデータフィードの管理体制。
媒体ごとにデータを成形しているケースが多いですが、媒体数を増やしても大変にならないよう、ツールによる一元管理がオススメです。媒体追加のハードルを下げておくことが、競争力の強化に繋がります。
データフィード管理ツール「dfplus.io」では、フィードの作成・連携はもちろん、細かな改善や時節に合わせた施策も手元で簡単に行うことができます。データフィードの管理をされる際はぜひご検討ください。
まとめ
広告リリースから 1 年半が経ち、活用企業が増える Pinterest。
費用不要で始められる「プロダクトピン」でオーガニックの流入が期待でき、EC マーケティングで活用しない手はない、魅力的な媒体です。ショッピングアドも新機能のリリースなど活発な動きを見せており、今後も注目です。
Pinterest に正式対応しているデータフィード管理ツール「dfplus.io」は 3 週間の無料トライアルのご用意もございます。サービス資料のご請求、ご質問などは以下のフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい。