「Pinterestは今後、広告媒体として頭ひとつ抜ける可能性がある」川手遼一さんに聞く、Pinterest アド(Pinterest 広告)の強み・オススメの運用方法

「Pinterestは今後、広告媒体として頭ひとつ抜ける可能性がある」川手遼一さんに聞く、Pinterest アド(Pinterest 広告)の強み・オススメの運用方法コラム
コラム

2022年6月に日本でPinterest アド(通称:Pinterest 広告)がスタートしました。新しい広告媒体ということで注目を集めつつも、やはりまだ国内での事例は少ない印象です。「運用してみて実際どうなのか、気になる」という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Pinterest アドに関する情報発信を精力的に行われている、株式会社キーワードマーケティングの川手遼一さんにお話を伺いました。

Pinterestに注目する理由や、実際に広告を運用した上での評価、おすすめの運用方法など、有益なお話をたくさん聞くことができました。ぜひご覧ください!

川手遼一さん プロフィール

Twitter @RKawtr

川手さんがPinterestに注目する理由「広告媒体として頭ひとつ抜ける可能性がある」

―Pinterest アドの運用を始めたきっかけについて教えてください。

「Pinterestの広告が日本でも利用可能になる」という情報が初めて出たのは、2020年の秋頃だったと思いますが、その頃からPinterestについての情報収集を始めました。情報収集を重ねていくうちに、現在運用している案件の中に相性が良さそうなクライアントには事前にご提案し、Pinterest アドが正式にスタートしたタイミングで広告運用を開始し、今も運用を行っています。

川手さんがPinterestに注目される理由はなんでしょうか?

Pinterestは、他のSNSにはない強みを持っているので、それが上手くハマれば、数ある広告媒体の中でも頭ひとつ抜ける可能性があると思っているからです。

現状Pinterestは、マーケターから「ニューフェイスの広告媒体」として見られていると思いますが、数年後には、「主要チャネルのひとつ」として位置づける人が増えていても全然おかしくないと思っています。

「Pinterestが持つ他のSNSにはない強み」について、ぜひ詳しく聞かせてください。

いくつかあるので、順番にお話しますね。

ひとつめは、「他のSNSのコンテンツを束ねるポジションに立っていること」です。

Pinterestは、InstagramやTikTok、Twitterを始めとしたSNSと同じ括りで語られることが多いのですが、サービスの性質を考えると、SNSというよりも、Googleのような検索エンジンに近いです。

SNSには日々様々なコンテンツが投稿されていますが、それらのコンテンツを集積し、キュレーションするのがPinterestの役割です。Pinterestはいわば、「他SNSのコンテンツを束ねるハブ」のようなポジションに立っていると言えます。

現状の国内ユーザー数を比較すると、他主要SNSに負けてはいますが、今後、「画像、動画コンテンツをチェックする場合は、Pinterestだけ見ておけばいいよね」という人が増えれてくれば、ユーザー数が一気に伸びる可能性もあると思っています。

ふたつめは、「能動的にコンテンツを見に来ているユーザーが多い」ことです。

特にTikTokやYouTubeが顕著ですが、他のSNSでは、供給されるコンテンツを受動的に浴びることのできる作りになっているため、ユーザーもそういったマインドでコンテンツを見ます。

逆に、Pinterestの場合は「アイデアを画像や動画で検索できるビジュアル探索エンジン」「アイデア・インスピレーションが見つかる場所」で公式に説明している通り、TikTokやInstagramのようにレコメンドされたコンテンツがホームに表示はされるものの、アプリを開いた瞬間から、ユーザーは能動的に何かを探している場合がほとんどなはずです。この「能動的にコンテンツを見ているユーザーが多い」という性質は、広告媒体として見たときに、大きなメリットになると考えます。

また、Shopifyとの連携を発表するなど、「コマース機能の整備に力を入れていること」も、強みのひとつになると考えます。

参考:ShopifyとPinterestの提携が拡大し、日本での広告出稿も可能に。

ShopifyとPinterestの提携が拡大し、日本での広告出稿も可能に。 - Shopify 日本
ShopifyとPinterestをつなぐ「Pinterestチャネル」と広告出稿についてご紹介。

コマース機能の整備は、ざっくり言うと、「Pinterest上のコンテンツを見る」ことと、「実際に商品を購買する」ことをシームレスにつなげていく取り組みと言えます。

もし仮に、今後Pinterest上で商品が購入できるようになったら、見つけた商品をその場ですぐに買ったり、複数の商品のピンを保存して、比較検討した上で買う、ということが出来るようになります。これは、能動的に何かを探しているPinterestユーザーとの相性は間違いなく良いですよね。

以上のことから、Pinterestが広告媒体として今後頭一つ抜ける可能性は十分あると考えます。

自分はWeb広告業界に8年ほどいますが、今のPinterest アドは「2015年ころのFacebook広告」に近い雰囲気を感じます。2015年当時は、「Facebook広告がメインの集客チャネルです」と言うと、「珍しいね」という感じだったかと思うのですが、今では全然ふつうのことですよね。

Pinterest アドもそういった飛躍を遂げるポテンシャルは間違いなくあると思います。

実際にPinterest アド(Pinterest 広告)を運用してみて感じたこと「質の高いユーザーに対して低コストでリーチ・獲得できる」

現在運用中の案件では、どのような商材が多いのでしょうか?

様々な業種・業界がありますが、たとえばtoCで言えば、インテリアECの案件があったり、toBでいえば、建材メーカーの案件があったりします。

どんな商材がPinterest アドと相性が良いと考えられますか?

Pinterest アドのターゲティング項目には「インタレスト」という括りがあるのですが、そこに含まれている商材は間違いなく相性が良いと考えます。ファッションやインテリアなんかはまさにそれに当てはまりますね。

参考:Pinterest 公式ヘルプ インタレストターゲティングを設定する

インタレストターゲティングを設定する

他にも、購入までの検討期間の長い商材は相性が良いと考えます。たとえば、オーダーメイドスーツやジュエリー、結婚式などですね。これは、Pinterest上で見つけたアイデアを一旦保存し、あとでそれらを見返して検討する、というユーザーが多いからだと考えます。

川手さんがPinterst アドを運用していて、良いなと思った点、評価できるポイントはどこですか?

いくつかありますが、「獲得できるユーザーの質が高い」ことが挙げられるかと思います。他の広告媒体でショッピング系の広告を出すと、「リピートにつながらない(LTVが低い)ユーザーばかり取れてしまう」という悩みがたまに出たりするのですが、Pinterest アドの場合はまだ配信期間が浅いという事もあるかもしれませんが、現状そういったことがありません。

これは、先ほど述べた「他SNSとのユーザーのマインドの違い」の影響が大きく出ている部分だと思います。能動的にアイデアを取りに来ている人、情報感度の高い人にリーチできるので、結果として、獲得できるユーザーの質も良くなっているのだと推察できます。

また、「他の媒体と比べてクリック単価が圧倒的に安い」ことも評価できるポイントです。これは理由が明確で、広告出稿企業の数が他の媒体に比べて少ないからです。2022年内まではこの状態が続くと思いますが、出稿企業が増えるにつれて、クリック単価も徐々に上がっていくとは思います。

ただ、今の状況だけを見ると、「質の高いユーザーに対して低コストでリーチ・獲得できている」という素晴らしい状態です。今のPinterest アドは完全にブルーオーシャンなので、参入するならなるべく早いタイミングが良いかと個人的には思います。

逆に、評価できないポイントはありますか?

やはり、「全体ユーザー数が少ない」ことは気になります。国内のユーザーが他の媒体と比べてまだまだ少ないので、頭打ちになりやすかったり、オーディエンスを絞りすぎると、まったくインプレッションが出なかったりします。

この点に関しては、当然Pinterest側も自覚していて、藤田ニコルさんをはじめ人気タレントが出演したCMを定期的に投下しており、新規ユーザーの獲得には力を入れています。

国内での知名度が上がるにつれて、ユーザー数の少なさからくる問題も徐々に解消されていくのではないでしょうか。

Pinterest アド(Pinterest 広告)のおすすめ運用方法:スマホで撮った動画をクリエイティブに使う

Pinterest アドの運用のコツがあれば教えてください。

Pinterest アドのフォーマットはいくつかあるのですが、まずは「スタンダードピン」「動画ピン」を使った広告を配信してみるのが良いと思います。広告枠の割り振りの関係なのか、他のフォーマットはあまりインプレッションされない傾向にあるからです。

クリエイティブは、「スマホで撮った動画を軽く編集したもの」を使うのがおすすめです。スマホで撮る理由は、UGCのような「手作り感」や「生々しさ」があったほうが、他のコンテンツとも馴染みやすく、ユーザーにも受け入れられやすいからです。

また、動画広告を配信する理由としては、静止画よりも動画のほうがクリック率が高い傾向にあること、多くの情報をユーザーにわかりやすく伝えることが可能なフォーマットであること、、Pinterestで表示されるコンテンツは動画よりも静止画のほうが圧倒的に多いため、一覧で表示されたときに視認性がより高くなることが挙げられます。

自分の場合は、手元のスマホで撮った動画をCanvaやAdobe Expressで少し加工し、それをそのままクリエイティブとして入稿しています。この方法を使えば、「手作り感」を残しつつ、広告としての訴求もしっかり入った、ちょうど良いクリエイティブを作ることができます。また、クリエイティブ制作にそこまで工数がかからないのもメリットです。

キャンペーンの設計に関してですが、オーディエンスを絞り込みすぎることは厳禁です。理由は、先ほど述べた通り、国内ユーザー数が少ないので、絞りすぎてしまうと、インプレッションを確保できなくなるおそれがあるからです。

「インタレスト」でユーザーの興味関心を指定できるので、最初は関連性の高いインタレストをセットし、ある程度経ったら拡張をかけていくだけでも良いかと思います。

その他の運用TIPSに関しては、自分のブログにも詳しくまとめていますので良ければご覧ください。

Pinterest アドの広告効果を最大限引き出すために実施すべき7つのこと
2022年6月から日本国内に対しても配信可能となった Pinterest アドですが、早速自分も複数の案件で配信に着手し、実際に成果が出始めている事を確認しています。 商材によっては費用対効果が大変よい状態での獲得を継続 ...

商品数の多いECサイトはPinterest ショッピングアドと相性が良い

Pinterestには「ショッピングアド」など、商品データを使った広告メニューがありますが、それらについてはどう捉えていますか?

現在運用中の案件では、ショッピングアドを配信しているところはないのですが、有効な使い方はいくつか考えられます。特に、商品数の多いECサイトとは相性が良いと考えられます。

たとえば、500商品を販売しているアパレルECサイトが、スタンダードアドを配信したとします。その場合、500商品の中から、2~10商品をピックアップして広告を配信することになるかと思いますが、逆に言えば、残りの490商品は、Pinterest上で露出する機会がほぼないということになります。この中に「Pinterestユーザーにめちゃくちゃハマる商品」があるかもしれないのですが、スタンダードアドではそれを見つけることが出来ません。

ショッピングアドを使えば、500商品すべてをPinterest上に広告配信することが出来るので、売る側が当初まったく想定していなかったような「意外な売れ筋商品」を、比較的効率的に見つけたりすることが可能となります。

商品数の多いECサイトの場合、「最初はショッピングアドを配信して、ユーザーの反応が良い商品を見つける」→「反応が良かった商品の動画クリエイティブを作り、さらにブーストをかける」という方法は、効率が良いかもしれないですね。

また、Pinterestがコマース機能を整備し、EC事業者がそれを適切に利用していくことを考えると、ECサイトの商品データをPinterestに連携しておくことは必須だと考えられます。今後Pinterestとしても力を入れていきたい分野だと思うので、キャッチアップをしていく必要があると思います。

参考:Pinterest「プロダクトピン」とは?無料でECへの流入~購入をスムーズにできる機能について解説

これからPinterest アド(Pinterest 広告)の運用を始める方に向けて

最後に、これからPinterestアドをやってみようと思っている方に向けて、アドバイスがあればお願いいたします。

広告を始める前に、まずは自分でPinterestのアプリをダウンロードして、数日触ってみることをおすすめします。どんなコンテンツや広告が出ているのか、どんなクリエイティブが刺さりそうかなど考えながら、Pinterestの雰囲気をつかんでおくことは、その後の運用に必ず役立ってくると思います。

川手さん、本日はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!


川手遼一さんへの広告運用のご依頼は、株式会社キーワードマーケティングまで直接お問い合わせください

株式会社キーワードマーケティング| 誰かの人生の、 分岐点になる広告を。|運用型広告で、モノやサービスとの素敵な出会いを創造します。
2004年設立のキーワードマーケティングは、GoogleやYahoo!のリスティング広告やディスプレイ広告,Facebook,Instagram,Twitter,LINE広告などのSNS広告を含む、運用型広告の代行やインハウス支援事業をおこなっています。

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