「Googleショッピング広告」とは、ユーザーの検索ワードに連動して広告が表示されるサービスです。その人気は登場以来高まり続け、大企業だけでなく、ネットショッピングを運営する中小事業者にとっても、もはや「必須」と言えるようなサービスになっています。
うまく使いこなすことができれば、大幅な売り上げアップが期待できるこの「Googleショッピング広告」ですが、利用したことのない人にとって、「このサービスを始めること自体が、ひとつの大きなハードルになっている」という声も多く聞かれます。
この記事では、Googleショッピング広告の特徴を再確認した上で、広告出稿の具体的な方法と、その際、初心者がつまずきやすいポイントを中心に、わかりやすく解説していこうと思います。
Googleショッピング広告とは
はじめに、Googleショッピング広告について、基本的なポイントを確認しておきましょう。
Googleショッピング広告は、ユーザーが検索したワードに連動して、画像付きの広告が表示される「検索連動型広告」のひとつです。
ふだんGoogleを使っていて、こんな画面を見たことはないでしょうか。

Googleショッピング広告の表示イメージ
これは、Googleショッピング広告によって表示された広告です。
商品の画像、名前、価格、店名、販売ページへのリンクが表示されています。
Googleショッピング広告は、主に3つの掲載位置があります。
Googleショッピング広告掲載位置
Google検索結果(「すべて」タブ)

Google検索結果でのGoogleショッピング広告の表示イメージ。PCでの閲覧

Google検索結果でのGoogleショッピング広告の表示イメージ。スマホでの閲覧
Googleの通常の結果画面です。
多くの方が日常的に目にする画面だと思いますが、その内の大きな面積を使って、存在感のある広告が表示されています。
Googleショッピング検索結果(「ショッピング」タブ)

ショッピングタブでのGoogleショッピング広告の表示イメージ。

スマホでの、ショッピングタブでのGoogleショッピング広告の表示イメージ。
こちらはGoogleショッピング検索の検索結果画面です。
Googleショッピング検索を行うユーザーは、実際に商品を探している可能性が高く、そのような層に対して強くアプローチをすることができています。
Google画像検索結果(「画像」タブ)

画像タブでのGoogleショッピング広告の表示イメージ。

スマホでの、画像タブでのGoogleショッピング広告の表示イメージ。
最後に、Google画像検索の検索結果画面です。
こちらも商品の画像が大きく表示され、ユーザーの視覚に訴える広告になっています。
以上で紹介した3つの位置に、Googleショッピング広告は掲載されます。
どの位置にも共通していえることは、画面内における占有度(サイズ)が非常に大きく、強いインパクトを持つ、ということです。この強いインパクトによって、ユーザーをサイトへ誘導していく力があります。
では次に、Googleショッピング広告の魅力について説明します。
Googleショッピング広告の魅力
記事の冒頭でも紹介したように、Googleショッピング広告は近年、人気の高まりを見せています。ひとつ、実際のデータを例にとって見てみましょう。
(画像引用:https://www.merkleinc.com/blog/merkle-q2-2019-digital-marketing-report-released)
これは2018年から2019年における、Googleショッピング広告と、テキスト広告(いわゆるリスティング広告)の、前年度比の成長率を示したグラフです。一見したところ、Googleショッピング広告を示すグラフ(青い線)は横ばいで、それほど成長していないように思えますが、このグラフが表しているのは成長率です。
例えば、2019年のQ2時点で、Googleショッピング広告の成長率は38%を記録しています。これは、2018年のQ2の時点と比較して38%成長した、ということです。このように見ていくと、Googleショッピング広告は前年比30%以上の成長をキープしていることがわかります。
一方、テキスト広告の成長率は途中からマイナスに落ち込んでいます。
これはひとつの例に過ぎませんが、「Googleショッピング広告の人気は非常に高く、今、最もホットな分野のひとつである」ということは分かっていただけたと思います。
ではなぜ、それほどまでにGoogleショッピング広告は魅力的なのでしょうか。
その特徴をポイントごとに整理して説明したいと思います。
知名度に関わらずアピールできる
この特徴は、比較的小規模なショップにとっては重要です。
ブランド力のある商品やECサイトを持っている事業者であれば、指名検索(特定の商品名や店名、ブランド名で検索すること)によってユーザーを購入まで誘導することができますが、そのような流入経路を持っている事業者は多くありません。
しかし、Googleショッピング広告は、商品やサイトの知名度にかからわず、ユーザーに商品をアピールすることができます。
たとえば、「スピーカー」という単語で検索を行うと、Googleショッピング広告枠には色々なスピーカーが並びます。 このとき、有名ブランドの隣に、知名度はなくても、デザインが優れていたり、気になる機能が搭載されたスピーカーがあれば、ユーザーがその商品を検討する機会が生まれることになります。これは、ある意味で、「知名度やブランド力の不足が、Googleショッピングによって補われている」と言ってよいでしょう。
そういった意味で、Googleショッピング広告の利用は、中小事業者にとって「必須」と言えます。
クリック率が高い
前の項でも説明したように、Googleショッピング広告は、画面における占有度が非常に高く、画像(写真)が大きいので、インパクトがあります。
ユーザーの目の止まりやすい位置に掲載されたこの広告のクリック率は、テキスト広告の2倍から3倍と言われています。
クリック率が高いと、広告成果も上がりやすく、売上の向上につながります。
コンバージョン率が高い
Googleショッピング広告は、ユーザーが商品を購入する際の行動に寄り添っているので、コンバージョン率(CVR)が高くなりやすいと言えます。
たとえば、「スピーカー おすすめ」というワードで検索したユーザーがいたとしましょう。このユーザーの中には、単純に調べ物をしている人もいるかもしれませんが、良いスピーカーを探している、あるいは、スピーカーの購入を検討している人も多くいる、と推測できます。
Googleショッピング広告は、そのような購入意欲が高いユーザーに対して、検索結果に広告を表示することでアプローチをかけることができます。
しかも、Googleショッピング広告は、商品ページへ直接リンクしているので、サイト内での検索や回遊といった要素を回避することができ、商品の購入までユーザーをスムーズに誘導することができます。
このように、Googleショッピング広告は、ユーザーの「商品を探して購入する」という行動に対して、自然な形でアプローチをかけ、訴求することが可能です。その結果として、CVRが高まり、売上の増加に繋がります。
Googleショッピング広告の特徴を再確認したところで、次の項では、広告を出稿するまでの具体的な方法を説明していきます。
Googleショッピング広告の出稿方法
Googleショッピング広告に出稿するには、GoogleマーチャントセンターとGoogle広告のアカウントがそれぞれ必要になります。
GoogleマーチャントセンターとGoogle広告の簡単に役割をまとめると、
- Googleマーチャントセンター: 商品情報(データフィード)の管理
- Google広告 : 広告キャンペーンの管理
ということになります。
Googleショッピング広告に出稿するためのおおまかな手順は、以下の通りです。
- Googleマーチャントセンター、Google広告のアカウントをそれぞれ用意する
- 2つのアカウントを連携させる
- マーチャントセンターに商品データをアップロードする
- Google広告でショッピング広告の配信を設定→広告出稿
では、それぞれの手順について、具体的に見ていきましょう。
Googleマーチャントセンター、Google広告のアカウントをそれぞれ用意する
Googleショッピング広告に出稿するためにはまず、「Googleマーチャントセンター」と「Google広告」の2つのアカウントが必要になるので、それぞれ開設を行いましょう。
Googleマーチャントセンター
Googleマーチャントセンターは、ひとことでたとえるなら「商品データが保管された箱」のようなものです。商品データを登録し、管理することができます。
Google広告(旧Google AdWords)
Google広告は、マーチャントセンターに登録した商品情報をもとに、実際に広告を配信することができます。
また、広告キャンペーンの管理は、マーチャントセンターではなくこちらで行います。
2つのアカウントを連携させる
アカウントの開設が終わったら、GoogleマーチャントセンターとGoogle広告をひも付け、連携させましょう。これを行うことによって、マーチャントセンターに登録した商品データをGoogle広告でキャンペーンとして配信するための準備が始まります。

Google広告アカウントとマーチャントセンターとのリンク
Googleマーチャントセンター側の管理画面で、ひも付けるGoogle広告のアカウントを指定し、Google広告側でそれを承認すれば、アカウントの連携は完了です。
マーチャントセンターに商品データをアップロードする
次に、商品のID、商品名、商品説明文、URL、画像、在庫状況、価格、カテゴリなどを指定したデータを、マーチャントセンターにアップロードする必要があります。
データのアップロードの方法は主に以下の4つです。
- Googleスプレッドシート:スプレッドシートのデータが更新されると、その内容がフィードに反映されます。
- アップロード:マーチャントセンター管理画面から手動でアップロードする方法です。
- スケジュール設定された取得:任意の場所にフィードをアップロードしておくと、設定されたスケジュールでGoogle側がそれを取得します。
- Content API:システム開発によってサイトのシステムとマーチャントセンターを直接連動させる方法です。
Google広告でショッピング広告の配信を設定
Goolge広告の管理画面からキャンペーンを作成します。その後、配信先や地域、予算などを設定し、広告の配信を開始します。
これで一通りの作業は完了です。
Googleショッピング広告で広告出稿までの流れを大まかに説明しましたが、初心者がつまずきやすいポイントはいくつかあります。
そこで重要になってくるのが、「データフィード」です。
初心者がつまずきやすいポイント
Googleショッピング広告で初心者がつまずきやすいポイントの多くは、データフィードの扱いと関係があります。
データフィードとは、ひとことでいえば、「商品の情報をタイムリーに更新して配信する仕組み」のことです。
ここからは、Googleショッピング広告を利用する上で、データフィードを扱うシーン(=つまずきがちなポイント)を見ていきましょう。
仕様通りの商品データを用意する
「3.マーチャントセンターに商品データをアップロードする」の手順の際に、アップロードする商品データが、Googleショッピング広告の求める仕様に合っていないと、「不承認」とされ、広告を配信することができません。
不承認になる主な理由としては
- 必須項目が入っていない
- 既定の選択肢以外の値を入力している
- 不適切なGTIN(※)を使用している
などが考えられます。
広告を配信するには、Googleショッピング広告が求める仕様をきちんと理解し、それに沿った商品データを用意する必要があります。

※ GTIN(ジーティン)(Global Trade Item Numberの略)とは、国際的な流通標準化機関のGS1により標準化された国際標準の商品識別コードの総称のこと
更新の仕組みを用意する
商品の価格や在庫数など、商品データは常に変動するものです。よって、商品の情報に変更があった場合には速やかにデータを更新し、広告に反映する作業を行います。この作業をすべて手作業で行うことは、かなり難しいので、スムーズに更新するための仕組みやシステムを用意しておく必要があります。
広告の配信開始後に改善する環境を整える
実際に広告の配信が開始された後にも、広告キャンペーンの内容や、商品データを見直して、効果の改善を目指していくとよいでしょう。
詳しくは後述しますが、Googleショッピング広告は、マーチャントセンターにアップロードする商品データ(=データフィード)のチューニングによって、表示回数やクリック率など広告成果が向上する、といった特徴があります。そのため、広告の効果を改善するためにも、データフィードを最適化できる環境を整えておく必要があります。
以上の場面は、Googleショッピング広告を運用していく上で必要なことですが、すべてデータフィードという仕組みを通じて行われます。
データフィードは、馴染みのない人にとっては理解しづらく、それをうまく扱うことは、ある種のハードルになってしまいがちです。
しかし、そのハードルを超えることは難しくありません。データフィードの基本的な知識と、効率的な手段を押さえておけば、ハードルを逆にメリットに変えてしまうことも可能です。
Googleショッピング広告では、データフィードを元に広告クリエイティブ(写真・商品名・説明文など)が生成されますので、データフィードはクリック率やコンバージョン率を左右します。また、表示回数もデータフィード内の要素で大きく変わってきます。
つまり、データフィードを最適化することで、効果を飛躍的に向上させられるのが、Googleショッピング広告の大きな特徴といえます。
そこで、データフィードを改善、最適化し、Googleショッピング広告でより大きな効果を上げるための代表的なポイントをいくつかご紹介しましょう。
Googleショッピング広告 運用のポイント
データフィードを改善し、効果を上げるために、まず着目すべきポイントは、
- 商品のタイトル
- 商品のカテゴリー
の2つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
商品のタイトルを最適化する
商品のタイトルは、広告の表示回数とクリック率を大きく左右する重要な要素です。
そのため、データを作成する際は
「商品名 + ブランド + 商品カテゴリー」
という順序で記載するとよいでしょう。これが基本形になります。
とはいえ、商品によってユーザーが求める情報は異なるので、PCDAを回しながら改善を行なっていくのが理想です。たとえば、商品が「スピーカー」であれば「サイズ」「色」「Bluetooth」など、ユーザーが求めている情報を記載することでクリック率をあげるテクニックを取り入れることなどができます。
いずれにせよ、「重要な情報は先頭に持ってくる」という原則を意識することが重要です。
商品のタイトルを改善したことによって、たった数日で表示回数が150~200%も向上した例があります。「広告の運用はまずタイトルの最適化から」です。
商品のカテゴリーを詳細に設定する
商品のカテゴリー情報も、広告の表示回数にかかわる非常に重要な要素です。
Googleショッピング広告では、カテゴリーを詳細に設定している商品の方が、より上位に表示される、というルールが存在します。
たとえば、スピーカーであれば、データフィード上で、
- オーディオ機器 > スピーカー > 家庭用スピーカー
と設定された商品よりも、
- オーディオ機器 > スピーカー > 家庭用スピーカー > Bluetooth(無線)
とより詳細に設定された商品のほうが、Googleショッピング広告における表示回数が多くなる、ということです。
自社サイトの商品のカテゴリー構造を考慮した上で、検索ボリュームがあるキーワードと階層を意識してカテゴリーを設定することが重要なポイントになってきます。
このように、データフィードを改善することによって、Googleショッピング広告の運用効果は飛躍的に上昇します。
とはいえ、データフィードにあまり馴染みがなく、かつエンジニアではないマーケティング担当者にとって、データフィードを思い通りに扱うことや、そのための環境整備はむずかしい、ということもまた事実です。
次の項では、そのような問題を解決するためのツールを紹介します。
データフィード最適化のために
ここまで、データフィードの重要性と改善のためのポイントを説明してきましたが、それでもやはり、
- データフィードはむずかしい
- どう扱えばいいのかわからない
- どうすればデータフィードを最適化できるのかわからない
- データフィードにかける時間がない
といった感想を持たれる方は多いのではないでしょうか。
もし、この記事を読んでいる方の中に、そのような状況に当てはまる方がいれば、ぜひおすすめしたいのが「dfplus.io」というデータフィードツールです。
dfpuls.ioを使うことで、「Googleショッピング広告のデータフィードを自動作成」することができます。
このように、dfplus.ioの画面上で、必須項目を入力してボタンをクリックするだけで、Googleショッピング広告のデータフィードを作成することができます。
しかも、このとき作成されたデータフィードは、タイトルなどが、効果が出やすいように自動で最適化されているのです。
また、dfplus.io には、Googleショッピング広告のタイトルにブランド名などの重要なキーワードを自動的に追加し、表示回数を改善する機能があります。試験提供では表示回数が144%にアップした実績もあり、ユーザーの活用も進んでいます。

まとめ
いかかでしたか?この記事では、Googleショッピング広告の魅力と、実際に広告を出稿する方法、そして初心者がつまずきやすいポイントを解説してきました。
Googleショッピング広告は、データフィードの最適化が広告効果の改善に大きくつながります。この記事がその助けになれば幸いです。
<参考>
- 効果的なオンライン広告キャンペーン | Google ショッピング広告 – Google
- Google ショッピングをマスター!ショッピング広告(旧:商品リスト広告)配信まで徹底解説 – Google 広告主コミュニティ Google Merchant Center Help
(執筆:安藤 和)