最近、データフィードの市場が盛り上がっています。
これまでデータフィードの活用先としては、GoogleやCriteoなどのダイナミック広告が主流だったのですが、最近ちょっとした変化が起きています。今回は最近のデータフィードを取り巻く環境とその変化についてお話ししたいと思います。
おさらい:データフィードとは
そもそもデータフィードとは「商品データ(人材系なら求人データ・不動産なら物件データなど)」を、広告やメディア、特定のシステムなどに連携する仕組み(またはそのデータそのもの)を指します。
連携された商品のデータ、たとえば画像、タイトル、価格、セール情報などが広告やSNSに動的に表示することができたり、レコメンドエンジンやスタッフ投稿のシステムのベースとして活用されることもあります。(連携先について詳しくは後述します)

データフィード市場の動き
ここからは、データフィード利用状況調査2022上期※1のデータを引用しながら、データフィード市場の動きを見ていきます。
調査事業者あたりの平均管理フィード数は「4.7」という結果でした。また、78.4%の企業が2つ以上のデータフィードを活用しており、高い水準でした。商品データを複数の媒体や施策に活用する傾向が一般的になっていることが伺えます。
このように活用が進むデータフィードですが、実際に利用されている送信先について、人気媒体から新しい活用先までご紹介します。
人気のデータフィード活用先
データフィードの活用先として、調査時点で一番人気だったのは検索系メディアとダイナミック広告です。

検索系メディア
ECではGoogeを活用する事業者が9割を超え、Googleの検索結果に商品を表示できる「Googleショッピング広告」や「無料リスティング」の利用をきっかけに、初めてデータフィード活用をはじめる事業者も多いようです。
人材系サービスでは、主要な求人検索サイトであるIndeedはもちろんのこと、求人ボックス・スタンバイも約7割の方が使っていたりと、前回の調査から大きく伸びていました。
ダイナミック広告
Criteo広告・Facebook/Instagram ※2の利用も、従来通り人気があります。この2媒体はGoogleに次いで常に上位で、データフィードの活用先の定番と言える媒体です。

ダイナミック広告といえば、サイト訪問済みの離脱ユーザーに対し、閲覧商品や関連商品を表示する、「既存顧客向けのCV獲得」のイメージが強いかと思います。
しかし最近では、新規・類似オーディエンス配信によって、ファネル上位の新規顧客向けの施策としての活用も広まっています。新規顧客向けにリーチを広げ、既存顧客向けにCV獲得を狙う形で、目的別にそれぞれキャンペーンを用意して配信するケースが多いです。
データフィードの新しい活用先媒体の台頭
SNSや新しい広告プラットフォームでの活用が広がっています。
1. Pinterest
2022年6月にPinterestアドが日本でリリースされ、非指名検索が中心で、アイデアを探しているフェーズのユーザーにECの広告を配信できるとして、注目を集めています。媒体でも日本展開に力を入れていることが伺われ、テレビCMも放送されました。
Pinterestアドと同時に、データフィードを連携することで活用できる「プロダクトピン」もローンチされました。Pinterestアドに商品情報を紐づけて使うこともできますが、無料でもオーガニック施策として実施でき、Pinterest経由の流入や購入につなげられる機能です。dfplus.io ユーザーでも利用が進んでいます!
プロダクトピンの活用方法については、以下記事に解説しておりますのでご覧ください。
2. TikTok
「TikTok売れ」という言葉もある通り、ECとの親和性も非常に高く、若年層を中心に購買のきっかけとなることで知られているTikTok。現在日本で利用できる、データフィードを活用したTikTokの施策は、ダイナミックショーケース広告とコレクション広告の2つです。
また、今後ショッピング向けの機能も順次リリース予定と発表されています(2022年9月時点)。
・ご参考:Introducing Shopping Ads and the next chapter of commerce on TikTok | TikTok For Business Blog
3. Microsoft広告
2022年5月に日本でのMicrosoft広告の展開が発表されました。広告メニューは「テキスト広告」「ショッピング広告」「ネイティブ広告」の3つです。
中でも「ショッピング広告」は、Googleショッピング広告と似ていて、データフィードを連携して、MicrosoftのBing検索結果の面に配信が可能なメニューとなっています。
日本ではショッピング広告はまだテスト中の段階のようですが、今後が注目される広告媒体です。
4. Twitter
Twitterにデータフィードを連携することで、アカウントに「Shop」タブが表示され、商品が表示される機能をご存知でしょうか?カンヌライオンズで「Twitter Shops」と「Shop Spotlight」の2つのショッピング機能についてテスト・拡張の発表がありました。ライブショッピングのテスト実施も見受けられ、今後、ECではTwitterの重要度が高まりそうです。
・詳細:カンヌライオンズに合わせて発表したプロダクト | twitter
データフィードを活用したUX・CX改善やDXサービス
広告やSNS以外にも商品データの活用先は広がっています。
中でも最近ご相談の多いサービスを3つご紹介します。
5. ハッシュタグ接客サービス「awoo AI」
awoo AIは商品データをAIが解析し、各商品に対して自動的に生成したハッシュタグを複数付与することができるサービスです。ハッシュタグはサイトの検索性や回遊性等といったCX改善に繋がり、ハッシュタグをクリックしたユーザーは、そうでないユーザーと比べ、CVRが2.83倍という実績も出ています。さらに、ハッシュタグごとに商品一覧ページが自動生成され、SEOによる新規流入にもつながります。
データフィード環境があることで、awoo AIの導入ハードルはぐっと下がります。
awoo AIに関する詳細は以下の解説記事をご参照ください。
6. スタッフDXサービス「STAFF START」「LINE STAFF START」
STAFF START・LINE STAFF STARTは、実店舗のスタッフによるオンライン接客を評価し、スタッフに還元することができる、”スタッフDX”として注目されるサービスです。コーディネート投稿やオンライン接客からの売上が可視化されることで、定着が難しいとされるオンライン接客のモチベーションを維持できるとして、ファッションECだけでなく、幅広い業界で導入が進んでいます。
STAFF START、LINE STAFF STARTの導入には、商品データの連携・自動更新の仕組みが不可欠です。
STAFF START、 LINE STAFF STARTに関する詳細は以下の解説記事をご参照ください。
7.「visumo」
visumoは、Instagram・Twitterのユーザー投稿(UGC)、スタッフによるコーディネート例や接客コメント、LIVE配信動画やIGTV、Youtubeなどの動画などをECサイトに埋め込み、コンテンツを充実させることができるビジュアルマーケティングプラットフォームです。visumoに関する詳細は以下の解説記事をご参照ください。
このように、新しい媒体・サービスが登場したことで、データフィードの活用先はますます広まっています。
ファネル別にデータフィードを活用する施策を整理した図がこちらです。本記事では紹介しきれなかった媒体や施策も含まれています。

データフィードは、検索連動型広告やダイナミック広告だけではなく、SNS、UX・CX改善、DXサービスなど フルファネルで多彩な活用先が増えていることが伺えます。
終わりに
いかがでしたでしょうか。「データフィードの活用先ってフルファネルでたくさんあるんだな」「ダイナミック広告だけじゃないんだな」と思っていただけたら幸いです。
自社の商品データをうまく活用していくことは、マーケティングにおいて欠かせません。データフィードを活用される際は、ぜひ一度dfplus.ioにご相談ください!

※1 データフィード利用状況調査:https://dfplus.io/news/datafeed-report-202208
※2 なお、Facebook/Instagram ダイナミック広告のデータフィードは、Instagramショッピングのデータフィード