今年2019年4月にはニューヨーク証券取引所に上場したことで話題になったPinterest(ピンタレスト)。
日本においては、Pinterestのマーケティング活用は未だ途上という印象ですが、さまざまな機能のグローバル展開も順次進んでおり、今後は大きなポテンシャルをもつプラットフォームとして注目されています。
今回は、Pinterestの特徴や機能、気になる広告展開などPinterestのマーケティング活用についてご紹介したいと思います。
Pinterest(ピンタレスト)とは?
Pinterestは、ユーザーの興味関心に応じて、オンラインで見つけたお気に入りの写真や動画を自分の「ボード」に収集することができるWebサービスです。
2010年にサービスを開始して以降、利用者が増え続けており、現在はグローバルで3億人以上のユーザーが利用しています。(※)また、今年2019年4月にはニューヨーク証券取引所に上場したことで話題になりました。(※Pinterest によるグローバル分析調査(2019 年 8 月)より)
Pinterestでは、オンライン上のお気に入りの画像や動画をカード形式の「ピン」として、自分の「ボード」に収集・保存することができます。
また、ユーザー自身がピンを収集・保存するだけでなく、ユーザーの行動履歴をもとに、AI(人工知能)によりその人の嗜好を推測しパーソナライズされたピンをホームフィードに表示することができるため、自分の興味・関心を軸に様々なアイデアや情報に触れることができます。
さらに、それぞれのピンの画像をクリックすると、最終的に画像元のサイトにリンクするように設計されているため、ピンからそのままオリジナルサイトに移動することもできます。
Pinterestは自身のことを以下のように位置付けています。
「Pinterest はアイデアを画像検索するビジュアルディスカバリーエンジンです。ピンと呼ばれる画像から次の行動の役に立つアイデアを見つけて、インスピレーションを行動に移すことができます。(引用:https://pinterestjapanblog.com/about-pinterest/)」
- https://www.pinterest.jp/
- https://business.pinterest.com/ja
- https://pinterestjapanblog.com/about-pinterest/
Pinterestの特徴
Pinterestの特徴である「アイデアの収集」→「アイデアを見つける」→「インスピレーションを行動につなげる」という視点で、それぞれの機能をご紹介したいと思います。
アイデアの収集ー画像を保存してブックマークに
ユーザーはPinterest特有の「保存(Pin it)」という機能で、インターネット上の画像をお気に入り登録して自分の「ボード」に「ピン(Pin)」として収集することができます。また、他のユーザーがピンした画像をピンすることもできます。(リピン)
画像をクリックすると、画像元のサイトにリンクするように設計されているため、画像の保存というよりも画像付きのブックマークとしてサイトを保存することができます。
アイデアを見つける
レコメンド
Pinterest はウェブクローラを使ってピンに関連付けられているページのコンテンツを定期的に取得、保存、処理し、何十億ものピンが含まれるデータベースを構築しています。そこから得られるシグナルを基に、ユーザーにおすすめの画像を表示させています。
ホームフィードではフォローしているユーザーのボードの画像や、あらかじめ登録した興味関心が高いトピックと関連性の高い画像、過去に検索したものと関連性の高い画像などが表示されます。
また、Pinterest上の画像を表示させると「関連するピンを見てみる」の下に関連度の高いおススメ画像が表示されます。
ユーザーは、これらの画像をピンすることで、さらに自分の興味や世界観あふれるオリジナルのボードをつくっていくことができます。
Pinterestレンズー画像検索機能
Pinterestは自らを「ビジュアルディスカバリーエンジン」と位置付けるように、Pinterestにはユニークな画像検索機能が用意されています。
Pinterestレンズを活用した画像検索では、Pinterestアプリ内のカメラで撮るだけで、そのイメージに関連するアイデアを検索することができます。ただ見た目が似ているものだけでなく、被写体に関連する様々なアイデアを見ることができるのが特徴です。
キーワードを指定することなく、画像にテキストが含まれていなくても関連する画像を表示できるため、”この商品が気になるけど、ブランドや商品名がわからない”という場合でも関連する商品画像にたどり着くことが可能です。
ズームイン検索
ピンの中の特定のアイテムだけを絞り込んで検索することができる機能です。例えば、スタイリッシュなコーディネートを施されたインテリアの中で、とりわけ照明が気になるといった場合、「ズームイン検索」をすることで、そのアイテムに似たモノのピンが表示されます。
ピンの中の特定のアイテムだけを絞り込んで検索できるため、商品名やブランド名がわからないという場合でも、販売しているECサイトやブランドにたどり着いて、そのまま購入するということも可能になります。
インスピレーションを行動につなげる
Pinterestでは、画像をクリックすると、画像元のサイトにリンクするように設計されているため、画像付きのブックマークからサイトに誘導することができます。
通常、ピンは画像・リンクURL・説明文がセットとなってユーザーのホームフィードや検索結果フィード、関連ピン内に表示されます。
Pinterestには行動につなげるためのさまざまな機能が用意されています。
アイテムタグピン
ピンにアイテムタグを追加すると、アイテムタグで気になる商品を見つけたら、ユーザーはそのままクリックしてリンク先へ移動し、さらに詳細を閲覧したり購入したりすることができます。
アイテムタグを追加したピン画像の中には、アイテムを示す白いドット(〇)が表示されます。この白いドットをクリック(タップ)することで、アイテムの詳細を確認することができます。また、リンク先へ移動し、さらに詳細を確認し購入することができます。
オーガニックなショッピング機能を提供するアイテムタグはInstagramショッピングに類似した機能といえます。
(※オーガニックなショッピング機能としてのアイテムタグは2019年10月15日現在、英国、ブラジル、ドイツ、フランス、日本を含む一部のパートナーで利用できるサービスです。)
日本におけるアイテムタグの活用事例
大手ファッション EC の [.st](ドットエスティ)では、ファッションスタイルをアイテムタグピンで紹介し、Pinterestをルックブックとして活用しています。ユーザーがお気に入りのスタイルを見つけた際に、その着用アイテムをすぐに見つけ購入できます。
リッチピン
リッチピンとは、ウェブサイト上のリッチデータ(メタデータ)が反映されたピンで、通常のピンと比較して、詳しい情報を掲載することでユーザーの目を惹き、行動を促すことができます。また、保存元のウェブサイトの情報に連動して表示内容が更新されます。
リッチピンには、プロダクトピン、レシピピン、記事ピンの 3 種類があります。
- Product Pins(プロダクトピン):商品名や価格、在庫情報などをピン内に表示
- Recipe Pins(レシピピン):調理時間や材料、分量などをピン内に表示
- Article Pins(記事ピン):記事のタイトル、概要、公開日などをピン内に表示
リッチピンはオーガニックの一種で、ピンがリッチピンか普通のピンかは、拡大表示の際に画像の上下に表示される追加情報と、グリッド表示の際の太字のタイトルで判別できます。
- https://help.pinterest.com/ja/business/article/rich-pins
- https://pinterestjapanblog.com/attract-more-users-with-richpins/
プロダクトピン
リッチピンの中でもプロダクトピンは、ECサイトや小売業に非常に相性のよい機能です。
プロダクトピンには商品画像や、最新の価格情報、在庫状況、商品説明がオリジナルサイトに連動して自動表示され、オリジナルサイトへのリンクからユーザーはシームレスに購買体験を完了することができます。
また、広告ではなくオーガニックのピンであるため、広告コストはかかりません。
「ショッピングのおすすめセクション」には様々なブランドや価格帯の類似アイテムのピンが表示されるため、興味関心度の高いユーザーに露出を高めることにもつながります。
- https://pinterestjapanblog.com/new-ways-to-shop-with-pinterest/
- https://newsroom.pinterest.com/ja/post/pinterest-/post/new-ways-to-shop-with-pinterest
Pinterest広告とは?
Pinterest広告は、残念ながらまだ日本では本格的な広告展開はしていませんが、将来的にはリリースされることが十分予想されます。(2019年10月15日現在)
ここでは、グローバルでは、どのような広告が展開されているのかをご紹介したいと思います。
プロモートピン
プロモートピンは、Pinterest ユーザーの目に留まりやすい場所に表示されるターゲットに設定したユーザーのホームフィード、カテゴリフィード、関連する検索結果に表示される広告です。
画像や動画、アプリのプロモーション、カルーセルなどの広告フォーマットが用意されており、「広告マネージャ」でプロモートピンの広告を作成することができます。
2019年10月15日現在、このプロモートピンは一部の国(※)のビジネスアカウントのみ利用できる有料のピンとなっています。
※アメリカ合衆国、カナダ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、キプロス、マルタ、ルクセンブルグ
アイテムタグ広告
2019年9月24日、Pinterestは、モバイル向けの新しいコレクション形式によるアイテムタグ広告を発表しました。
アイテムタグ広告は、最大 25 件までアイテムをタグ付けすることができ、4 アイテムのプレビューギャラリーから気になる商品をクリックし、詳細を確認できるような仕様となっているようです。Facebookのコレクション広告と類似したフォーマットになるのでしょうか?このアイテムタグ広告は、今後数か月かけて、米国にて展開予定とのことです。
カタログ機能とショッピング広告
さらに今後は、カタログ機能とショッピング広告を各国にて展開予定とのことです、これにより、商品カタログを Pinterest にアップロードして、自動的にカタログ上の商品を購入可能なプロダクトピンとして変換、展開することが可能になります。
2019年10月15日現在、この機能及びショッピング広告はフランス、ドイツ、スペイン、イタリアの一部のパートナーを対象に展開しているとのことです。
さいごに
日本でのリリースが楽しみな機能も順次展開予定とのことですので、今後、マーケティング活用の幅も拡がることが予想されます。
ユーザーローカルが提供するPinterestのランキング、解析サイトでは、様々なPinterestアカウントを国内ランキング・企業公式アカウントランキング・Global Ranking別に確認することができます。
Pinterestアカウントがどのような使われ方をしているのか非常に参考になりますので興味のある方は参考にしてみてください。
(執筆:松元)